Part 8 「てにをは」(助詞)

ヒント52 「に」と「で」を使い分ける

(◆は原文、は改善案)

◆昨日の新聞次のような記事を目にしたので紹介したい。

◇昨日の新聞次のような記事があったので紹介したい。

◇昨日の新聞次のような記事を目にしたので紹介したい。

 「ここにある(いる)」というように、「存在」には「に」を、
 「ここで目にする」というように、「行為」には「で」を使います。

(『文章力を伸ばす』)

ヒント53 「を」ではなく「に」を使う

 「練習を打ち込む」ではなく、「練習に打ち込む」です。
 「勉強を励む」ではなく、「勉強に励む」です。自動詞の前は「に」なのです。

◆誰もが見落としていた問題気付いた。

◇誰もが見落としていた問題気付いた。


◆お願いするにあたっては、相手の事情十分配慮したい。

◇お願いするにあたっては、相手の事情十分配慮したい。

 「配慮する」を「気を配る」と言い換えてみれば、「事情を気を配る」ではなく、「事情に気を配る」であることが分かるでしょう。和語に言い替えてみると分かる例です。

(『文章力を伸ばす』)

◆(インフルエンザの)子供の感染特に注意したい。

◇(インフルエンザの)子供への感染特に注意したい。

ヒント54 「に」ではなく「を」を使う

 次は、「に」ではなく「を」が適切な例です。他動詞の前は「を」なのです。

◆私は今、地下水の農薬汚染の影響心配しています。

◇私は今、地下水の農薬汚染の影響心配しています。

(『文章力を伸ばす』)

◆台風が東海地方直撃しました。

◇台風が東海地方直撃しました。

(『文章力の基本の基本』)

◆事実脚色すべきではない。

◇事実脚色すべきではない。

◇事実脚色を施すべきではない。

(『文章力の基本』)

ヒント55 「を」と「で」、「を」と「が」を使い分ける

 「お金を貯める」「そのお金で買う」です。

◆自分で稼いだお金、留学する資金にする

◇自分で稼いだお金、留学する資金にする

◇自分で稼いだお金、留学する。


◆マダニに噛まれた可能性がありますので、至急病院受診してください。

◇マダニに噛まれた可能性がありますので、至急病院受診してください。

(『文章力の基本の基本』)

 最近、「医療機関を受診する」という表現がよく使われていますが、「受診する」を「診察を受ける」と言い替えてみると、「医療機関を診察を受ける」ではなく、「医療機関で診察を受ける」でしょう。

『広辞苑』は、「で」の多彩な意味を次のように説明しています。
 「動作の行われる所・時・場合を示す」(「家の中遊ぶ」)
 「手段・方法・道具・材料を示す」(「ペン書く」)
 「理由・原因を示す」(「かぜ休む」)
 「事を起こした所を示す」(「会議決めた事だ」)
 「事情・状態を表す」(「いいかげんな気持ちやる」)
 「期限・範囲を示す」(「明日公演は終りです」)
 「配分の基準を示す」(「1時間4キロ歩く」)

◆親は躾を含めてすべての面学校に頼り切っている。

◇親は躾を含めてすべての面学校に頼り切っている。

 これは、『広辞苑』の説明の最初にある「場合」を示す「で」でしょう。

(『文章力の基本』)

「を」と「が」を使い分ける

 「英語を話す」「英語ができる」ですね。

◆妹は、兄のアドバイスを得て何かひらめいたようです。

◇妹は、兄のアドバイスを得て何かひらめいたようです。

 「名案ひらめく」であって、「名案ひらめく」ではありません。

◆謙譲語は、自分へりくだって相手の立場を高める言葉です。

◇謙譲語は、自分へりくだって相手の立場を高める言葉です。

(『文章力の基本の基本』)

 「へりくだる」は自分がすること(自動詞)ですので、「が」です。
 一方で、「見下す」は他人をさげすむという他動詞ですから、「を」です。

 次の5つは、「が」+自動詞、「を」+他動詞の例です。

◆お金を稼ぐことがどんなに大変かということ、身にしみた。

◇お金を稼ぐことがどんなに大変かということ、身にしみた。


◆今テレビで、天気予報やっている。

◇今テレビで、天気予報やっている。


◆その事件は、いろいろな憶測呼んでいる。

◇その事件は、いろいろな憶測呼んでいる。


◆ご注文のスーツ今週末に出来上がる予定です。

◇ご注文のスーツ今週末に出来上がる予定です。

◇ご注文のスーツ今週末に仕上げる予定です。

(『文章力を伸ばす』)

◆多くのテレビ局でワイドショー番組やっている。

◇多くのテレビ局でワイドショー番組やっている。

(『文章力の基本』)

 「私が行きます」のように、「が」は一般に主語を表す助詞と考えられています。しかし、もう1つ大事な使われ方があります。次のような目的語を表す用法です。

 「水飲みたい」
 「お小遣い欲しい」
 「野球好きだ」
 「当地でもうまい魚食べられます」
 「この家とても気に入った」
 「あの外国人は日本語分かるようだ」

(文例は、森田良行『助詞・助動詞の辞典』東京堂出版)

ヒント56 「ちょっと一息」「は」はスーパー助詞

 金谷武洋は、『日本語に主語はいらない』(講談社)の中で、

 この本は、タイトルがいいので、大いに期待した。図書館ですぐ読んだが、得るところはなかった。まったく期待はずれだった。

という文章は、次のような意味だと指摘しました。
 (この本)タイトルがいいので、
 (この本)大いに期待した。
 (この本)図書館ですぐ読んだが、
 (この本から)得るところはなかった。
 (この本)まったく期待はずれだった。

 つまり、最初の「この本は」の「は」は、いくつもの文にまたがって、さまざまな助詞(の、に、を、から、が)の役割を代行する力を持つ「スーパー助詞」なのです。
 ということは、「は」が使える場面は沢山あります。「ここに『は』を使ってもいいのだろうか?」と疑問に思った時は、こういう視点でチェックしてみてください。

(『文章力の基本100題』)

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「第3部 イタリアで我が人生を見つけたり!」(続き)

 標高4487mのマッターホルンは、スイスとイタリアの国境にあって、イタリア名をチェルヴィーノという。そのイタリア側の麓の町がチェルヴィニアである。

 その町の定宿で、毎年クリスマス休暇を過ごしながら、沢山の年賀状を書いた。
 その間に、雲の具合や光の具合を見ながら、時々シャッターを押した。至福の時間だった。

 写真は、上が朝日、下が夕日である。職場から1時間45分で辿り着けた。

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